アイスホッケーのリンクは大まかに2種類あります。
IIHF(International Ice Hockey Federation)の規定するいわゆるインターナショナルサイズのリンクと、NHL(National Hockey League)の規定するいわゆるNHLサイズのリンクです。
この2つのリンクの最も明記されるべき相違点はそのサイズです。
インターナショナルサイズが縦30メートル×横61メートルなのに対し、NHLのそれは縦26メートル×横61メートルと縦幅が4メートル短く作られています。
- インターナショナルサイズのリンク - 縦30メートル×横61メートル
- NHLサイズのリンク - 縦26メートル×横61メートル
NHLのリンクが小さい理由は、表向きには北米で最初のモデルとなったモントリオールのビクトリア・スケーティングリンクのサイズが24メートル×62メートルだったことに由来しています。
しかし別の理由としてNHLはスポーツビジネスですので、リンクが小さい分より多くの観衆をアリーナに収容できるという事が上げられます。
このリンクのサイズもそうですが、リンク自体にも色々と相違点が見られます。
これはNHLがアイスホッケーをもっとエキサイティングなスポーツにするために年々改良を重ねてきた結果です。
■攻撃ゾーンの広さ
まず、ゴールラインからブルーラインの距離はインターナショナルのリンクが17メートルであるのに対し、NHLのものは20メートルと攻撃ゾーンが拡大されています。
■ゴールエリアのデザイン
ゴールエリアのデザインにも相違があり、ゴール・クリース(ゴール前にあるブルーでペイントされたエリア)はインターナショナルのものが完全な半円形であるのに対し、NHLのものは両翼が縦にカットされた形状をしています。
インターナショナルのルールでは、パックより先にプレイヤーのいかなる部分でもこのエリア内に入ってしまうと、たとえゴールをスコアーしても取り消されてしまいます。
一方のNHLでは、1999年から2000年シーズンよりこのルールは除外されています。
■トラペゾイド・エリア
さらにNHLのリンクには、ゴールの後ろ側にトラペゾイドという両側を斜めの線で区切られたエリアが設けられており、これはインターナショナルのリンクには無いものです。
インターナショナルのルールではゴールテンダーはゴールラインの後ろでスティックなどを使ってプレイできますが、NHLのルールではゴールテンダーはこのトラペゾイドの内側でしかプレイできません。
つまりゴールライン後方の両翼にゴールテンダーがパックに触れる事のできないエリアがあり、攻撃側はそのエリアを有効に使う事ができるというわけです。
以上が2つのリンクの相違点となっているわけですが、それではこの違いがプレイに及ぼす影響はあるのでしょうか?
今シーズンからロシアのKHLからNHLのフィラデルフィア・フライヤーズに移籍したヤラミロ・ヤーガは、次のようにコメントしています。
「インターナショナルのリンクではパックを持つと辛抱強くプレイしなければならない。だがNHLのリンクでは素早い判断を要求される。」
また、今期の開幕戦をヨーロッパのインターナショナルリンクで行ったロサンゼルス・キングスのディフェンスマン、マット・グリーンは次のように語っています。
「インターナショナルのリンクは(縦幅が)広いのでゾーンをカバーする時の距離感を調節しなければならない。うっかりすると3フィート(約1メートル弱)のスペースを敵に与えてしまい、防御を崩されてしまう可能性がある。」
また、冬季オリンピックのアイスホッケーでは当然インターナショナルサイズのリンクが使用されますので、NHLサイズのリンクに慣れてしまっているカナダやアメリカの選手は、そのあたりの調整と順応が要求されます。
リンクの違いによって、プレイにもさまざまな影響が出てくることになるわけです。