icehockey

数多くのプロスポーツの中で、ルール上殴り合いが公認されているのは何でしょう?
ボクシングは当然殴り合う事を競うスポーツですから別として、ルール上での規制していないのはアイスホッケーだけです。
当然プレイが続いている間は殴ってパックをとったり、相手を倒したりするのは反則ですが、プレイに関係ない所、例えばパックから遠く離れた場所などでのファイトは公認されています。

別のケースではフェイスオフの時に「やるか?」「よし、やろう」と事前交渉があってファイトする事もあります。 これはチームのムードを盛り上げる為にエンフォーサー(いわゆるケンカ専門のごついプレイヤー)がファイトを買って出るというものです。

後はチームメイトが激しいヒットを受けて怪我をしたとかしそうになったりすると、エンフォーサーばかりでなく他のチームメイトが過失のあったプレイヤーに襲い掛かろうとします。
チームメイトの為に起こす乱闘もチームの結束を硬くする一つの要素というわけです。

しかし殴り合いをして怪我をしたりしないのでしょうか?

ご存知のように氷の上では足元が滑りますので、腰の入ったパンチを放つのが難しいようです。
それでもたまにいいのを食らって、脳震盪の後遺症の為に1シーズンを棒に振ったプレイヤーもいますので、怪我にだけは注意して欲しいものです。

NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)はゲーム中の喧嘩を止める事は考えていません。
一つにはゲーム中のファイトがアイスホッケーの人気を呼ぶ一つの要因であり、コンタクトスポーツの持つ「激しさ」というものを失いたくないのです。
喧嘩し終わった後にはお互いの健闘を称えるというスポーツマンシップも存在する、それがアイスホッケーなのです。
NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)はアメリカの23チーム、カナダの7チームが所属する北米のプロアイスホッケーリーグで、世界最高峰のプロホッケーリーグに位置づけられます。

アメリカではNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)、MLB(メジャー・リーグ・ベースボール)と並んで4大スポーツの一つと数えられています。

NHLにはカナダ、アメリカを始め世界20ヶ国から一流選手が集まり、10月初旬から4月中旬まで行われるレギュラーシーズンの82試合が行われ、西と東それぞれのカンファレンスから上位8チームがスタンレー杯プレイオフに進出します。
勝ち点は延長、及びシュートアウトを含んだ勝利に2点、延長及びシュートアウト負けに1点、レギュレーションでの負けに0点が与えられます。

レギュラーシーズン終了時の順位は、まずカンファレンスを3地区に分けたディビジョンのチャンピオンが勝ち点の多い順にカンファレンスの1位、2位、3位を占め、後は勝ち点の多い順に順位が決定されます。

プレイオフはカンファレンス内での1位と8位、2位と7位、3位と6位、4位と5位のチームの間で準々決勝が行われ、7試合をして先に4勝したチームが準決勝へと駒を進めます。
そしてそれぞれのカンファレンスの決勝を勝ち残ったチーム同士でファイナルが行われます。
つまりプレイオフで優勝をするには短期間に最大28試合を行う事となり、スタンレー杯はプロスポーツの中で最も獲得がハードと言われています。

2011-2012シーズンではNBAのロックアウトの影響もあり、アイスホッケーの人気が益々高まるのではないかと期待されています。
しかもベースボールはホッケーのシーズン中はオフシーズンに当たり、フットボールも試合数が少なく2月の第1日曜日のスーパーボウルでシーズンの幕を閉じるので、ホッケーに人気が集まる可能性が高くなります。

昨シーズンに劣らぬエキサイティングなシーズンを期待したいものです。

アイスホッケーで最もゴールが生み出されやすい状況の一つにパワープレイがあります。
これはファールをしたプレイヤーが2分間かそれ以上のペナルティーを受け、一時的にそのチームのプレイヤーが5人から4人に減る時に起こります。

当然5人対4人になりますから人数の多い方が有利となり、攻撃側はパワープレイ、守備側はペナルティーキルをする事になります。

現在NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)ではアンブレラ・フォーメーションというパワープレイの攻撃布陣が主流です。 これは3人のプレイヤーがゴールラインから離れた位置に三角形を形作り、残りの2人がゴール前に陣取る布陣で、上方から見た形がアンブレラ(傘)に似ている事からこう呼ばれます。

無論プレイヤー達は動き回ってポジションを変えますので、この陣形がそのまま維持される事はありませんが、パワープレイをセットアップする時の基本陣形であると考えてください。
そしてゴール前に陣取った2人はゴーリーの視界を遮ったり(スクリーン)するテクニックでゴールを補助したり、飛んできたパックの方向をスティックで瞬時に変えたり(ティップ)、ゴーリーに跳ね返ったリバウンドを押し込むなどしてゴールを奪ったりします。

パワープレイの成功率の悪いチームはプレイオフを勝ち抜けないとも言われます。
(最も昨シーズンスタンレー杯を獲得したボストン・ブルインズはパワープレイの成功率が低かったのですが・・・) そして逆にペナルティーキルもゲームに勝つために重要な要素となる事は言うまでもありません。

アイスホッケーで使用される用具はパックとスティックです。
実際に使用した事のある方には周知の事と思いますが、そういった経験が無い方の為に少し触れておきたいと思います。

 

パックの大きさと重さ

まずホッケーのパックは硫化ゴム製で大きさは直径7.6センチメートル、厚さが2.5センチメートルで、重さは160から170グラムあります。
実際に持ってみるとわかりますが結構重量感があり、硬いものです。

NHLはリーグに所属するプレイヤー達にバイザー(目の周りを覆う透明のシールド)の使用を推奨していますが、義務付けてはいません。
バイザーを使用しないプレイヤー(特にベテラン)はまだ沢山います。

しかし今年の3月にバンクーバー・カナックスのマニー・マホトラはパックが眼球に当たり、潰された眼球の再生手術を受けるといった事故もありました。
氷の上にはドロリとした血溜まりができて、見るからに痛そうでした。

パックは基本的に氷の上を滑りやすいようにできていますが、氷の表面に凹凸などがあると弾んでしまいます。
ゲームが終盤に差し掛かった頃など、プレイヤー達がスケートのエッジで氷をかなり削っていきますので、弾みやすくなるようです。
しかしパックが弾んでばかりですと、まともにプレイできません。
そこで弾まなくさせるためにパックは常に低温に保存されています。
NHLのパックは凍らせておくことが規定されており、大体華氏19度に保存されています。

なぜ低温になると弾まなくなるのかと言いますと、パック内に蓄積されるエネルギーの関係でそうなるのだそうです。
例えばパックを2つ用意して一つを冷凍庫に入れ、別の一つを室温でしばらく置いておきます。
そしてしばらくして2つのパックを腰の高さあたりから床の上に落しますと、冷たく保存されていた方の跳ね返りが短い事がわかります。
これは野球のボールなどでも実験できるので、興味のある方は試してみて下さい。

 

スティックの長さ

次にホッケーのスティックについてですが、ここではフォワードとディフェンスマンのスティックを取り上げてみたいと思います。

まずNHLの規定ではスティックの全長(ヒールと呼ばれるブレードのシャフト側の底 - エンド)が63インチ(160.02センチメートル)を超えてはならず、ブレードの幅は最小が2インチ(5.08センチメートル)、最大が3インチ(7.62センチメートル)、長さは12.5インチ(31.75センチメートル)とされています。
ただし例外として身長が6フィート6インチ(198.12センチメートル)を超える選手はリーグに申請をして最大65インチ(165.1センチメートル)までの長さのスティックを使用する事が許されます。
ちなみにボストン・ブルインズのズデーノ・チャラは6フィート9インチ(205.74センチメートル)で65インチのスティックを使用しています。

そしてブレードのカーブの深さは最大が4分の3インチ(1.905センチメートル)と規定されています。

スティックの素材は主にカーボン・グラファイトかアルミニウムです。

ゲーム中にスティックが真っ二つに折れてしまう事がしばしばあります。
ルール上、プレイヤーは折れたスティックを使用してはいけない事になっているので、氷の上に投げ捨ててベンチまで新しいスティックを取りに戻るか、そのままスティック無しでプレイする(スケートでパックを蹴る事ができますし、自陣地では手を使ったパスもOKです)ことになります。

問題はペナルティー・キル(味方プレイヤーが4人や3人で相手が5人)の時などにディフェンスマンのスティックが折れてしまった場合です。
ペナルティー・キルはほとんど全てのプレイヤーがディフェンスに徹しますので、ディフェンスマンのスティックはなくてはならないものです。
そこで多くの場合はフォワードのプレイヤーがディフェンスマンに自分のスティックを渡す事になりますが、利き腕によってはブレードが逆になったりしてしまいます。
それでも無いよりはましなようです。

昨シーズンにはアナハイム・ダックスのボビー・ライアンが敵のプレイヤーに自分のスティックを奪われてしまいましたが、氷の上に落ちていたその敵のスティックを拾ってゴールを決めるという珍プレイもありました。

さて今回はアメリカでモテモテのプロのアイスホッケープレイヤーについて少し書いてみたいと思います。

アメリカのNHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)には30チームあり、当然相当な数のホッケープレイヤー達が同リーグでプレイしていますが、彼らの中の多くが芸能人やシンガー、モデルなどと交際していたり、結婚していたりしています。
有名人でなくとも家族を伴うイベントなどで時折姿を見せる彼らの奥様やガールフレンドはいずれも美人揃いです。
無論一般女性達にもモテモテで、傍から見ているモテない男にとっては実に羨ましい限りです。

例えば有名なカップルの例を挙げますと・・・

  • キャリー・アンダーウッド(歌手) - マイク・フィッシャー(ナッシュビル・プレデターズ)
  • ヒラリー・ダフ(歌手/女優) - マイク・コムリー(ピッツバーグ・ペンギンズ)
  • エリーシャ・コスバート(女優) - ディオン・フェヌプ(トロント・メイプルリーフス)
  • メラニー・コリンズ(アナウンサー) - スコティ・アップシャル(コロンバス・ブルージャケッツ)
  • ウィラ・フォード(歌手/タレント) - マイク・モダーノ(元ダラス・スターズ)
  • ペトラ・ボラコバ(タレント) - パトリック・エリアス(ニュージャージー・デビルズ)
  • レイチェル・ハンター(モデル/女優) - ジャレット・ストール(ロサンゼルス・キングス)
といった感じです。

アメリカやカナダでは女性の間の一般的な概念として「ホッケープレイヤーはセクシー」とされています。
確かにプレイヤー達のほとんどが長身で体型も良く、しかもタフで甘いマスクを持っていたりしますから当然と言えば当然なのですが・・・。

アイスホッケーのリンクは大まかに2種類あります。

IIHF(International Ice Hockey Federation)の規定するいわゆるインターナショナルサイズのリンクと、NHL(National Hockey League)の規定するいわゆるNHLサイズのリンクです。

この2つのリンクの最も明記されるべき相違点はそのサイズです。
インターナショナルサイズが縦30メートル×横61メートルなのに対し、NHLのそれは縦26メートル×横61メートルと縦幅が4メートル短く作られています。

  • インターナショナルサイズのリンク - 縦30メートル×横61メートル
  • NHLサイズのリンク          - 縦26メートル×横61メートル

NHLのリンクが小さい理由は、表向きには北米で最初のモデルとなったモントリオールのビクトリア・スケーティングリンクのサイズが24メートル×62メートルだったことに由来しています。
しかし別の理由としてNHLはスポーツビジネスですので、リンクが小さい分より多くの観衆をアリーナに収容できるという事が上げられます。


このリンクのサイズもそうですが、リンク自体にも色々と相違点が見られます。

これはNHLがアイスホッケーをもっとエキサイティングなスポーツにするために年々改良を重ねてきた結果です。

攻撃ゾーンの広さ

まず、ゴールラインからブルーラインの距離はインターナショナルのリンクが17メートルであるのに対し、NHLのものは20メートルと攻撃ゾーンが拡大されています。

ゴールエリアのデザイン

ゴールエリアのデザインにも相違があり、ゴール・クリース(ゴール前にあるブルーでペイントされたエリア)はインターナショナルのものが完全な半円形であるのに対し、NHLのものは両翼が縦にカットされた形状をしています。

インターナショナルのルールでは、パックより先にプレイヤーのいかなる部分でもこのエリア内に入ってしまうと、たとえゴールをスコアーしても取り消されてしまいます。
一方のNHLでは、1999年から2000年シーズンよりこのルールは除外されています。

トラペゾイド・エリア

さらにNHLのリンクには、ゴールの後ろ側にトラペゾイドという両側を斜めの線で区切られたエリアが設けられており、これはインターナショナルのリンクには無いものです。

インターナショナルのルールではゴールテンダーはゴールラインの後ろでスティックなどを使ってプレイできますが、NHLのルールではゴールテンダーはこのトラペゾイドの内側でしかプレイできません。
つまりゴールライン後方の両翼にゴールテンダーがパックに触れる事のできないエリアがあり、攻撃側はそのエリアを有効に使う事ができるというわけです。


以上が2つのリンクの相違点となっているわけですが、それではこの違いがプレイに及ぼす影響はあるのでしょうか?

今シーズンからロシアのKHLからNHLのフィラデルフィア・フライヤーズに移籍したヤラミロ・ヤーガは、次のようにコメントしています。

「インターナショナルのリンクではパックを持つと辛抱強くプレイしなければならない。だがNHLのリンクでは素早い判断を要求される。」

また、今期の開幕戦をヨーロッパのインターナショナルリンクで行ったロサンゼルス・キングスのディフェンスマン、マット・グリーンは次のように語っています。

「インターナショナルのリンクは(縦幅が)広いのでゾーンをカバーする時の距離感を調節しなければならない。うっかりすると3フィート(約1メートル弱)のスペースを敵に与えてしまい、防御を崩されてしまう可能性がある。」

また、冬季オリンピックのアイスホッケーでは当然インターナショナルサイズのリンクが使用されますので、NHLサイズのリンクに慣れてしまっているカナダやアメリカの選手は、そのあたりの調整と順応が要求されます。

リンクの違いによって、プレイにもさまざまな影響が出てくることになるわけです。

アイスホッケー用に使用される靴は、他のスケート靴とどのような違いがあるのでしょうか?
競技によるスケート靴の違いを見てみましょう。

フィギュアスケート

フィギュアスケート靴のブーツの部分は硬い革のレイヤーで構成され、しっかりと足首を固定するようにできています。
ブレードはブーツとほぼ同じ長さか微妙に長い程度で、つま先部分にトーピックと言われるギザギザにカットされた部分があり、ジャンプの踏み切りなどに使われます。
またフィギュアスケートのブレードは半月形に微妙にカーブしていますので、バランスと加重の配分の微妙な調整を可能にします。
そしてブレードには縦に溝が彫ってあり、外側と内側のエッジを形成しています。

ホッケースケート

ホッケースケートの靴はブーツの部分は革やプラスチック、バリスティックナイロンでできていてます。
ブレードはほぼ靴と同じ長さで、フィギュアスケートのそれより薄く作られています。
ブレードの底はフラットで両端が上に向かってカーブしていて、トーピックはありません。
そしてフィギュアスケートのものと同じようにブレードに溝があり、2つのエッジを持っています。

ゴーリーのブーツは足首の部分が普通のホッケースケートのものよい短くカットされ、靴の底が普通のものより氷の表面に近い距離にあります。
ブーツそのものは足首やつま先、踵の部分が硬化プラスチックでカバーされ、物凄い勢いで飛んでくるパックから足を守るようにできています。
ブレードは普通のものより長めで、両端のカーブが少なめにできており、これは横方向の動きをしやすくしますが、逆にターンには向いていません。

スピードスケート

スピードスケートの靴のブレードは靴よりも数インチ長く、最も薄く作られています。
完璧にフラットでトーピックが無く、フィギュアやホッケーのようにブレードに縦の溝が掘られていません。
ショートトラック用のものはブレードは短めで若干厚みがあり、スピードスケートのものより高さがありますが、これはブーツが氷の表面に触れるのを防ぐ役割と、深いエッジを使った素早いターンを可能にするためのものです。

以上のようにスケート靴も用途によって仕様がかなり異なります。

アイスホッケーでラインと言う場合、リンクに描かれたブルーやレッドの線の事と同時に、3人のフォワード(レフトウィング、センター、ライトウィング)で構成される4つの攻撃ラインの事も指しています。

まずファーストライン(トップラインとも呼ばれる)はチーム内の最も得点能力の高いプレイヤー達によって構成され、このラインが最も多数のゴールを奪う事になります。
フォースラインはエナジーラインとも呼ばれ、アグレッシブなプレイで相手チームのプレイヤーの攻撃を最小限に抑えつつ、他のラインに休息の時間を与える役割を果たします。

そしてセカンドラインはファーストラインに次ぐ得点能力の高いプレイヤーで構成され、若干ディフェンスの方にも比重の置かれたラインです。
サードラインは一般にチェッキングラインと呼ばれ、相手チームのファーストラインを抑える役割を果たす為にディフェンスに最も比重が置かれます。

これらは一般論で、ファーストラインにチーム内のベストツーウェイプレイヤー(攻撃・守備共に卓越するプレイヤー)がいる場合など、相手チームのファーストラインに対抗して投入される事もありますし、セカンドラインがチェッキングラインの役割を果たすことも多々あります。

プレイヤーは常に全力でスケートしていますので、疲労が激しく、一つのラインがプレイするのは最大でも1分20秒程です。 
そしてゲームが進んで第3ピリオドともなるとさらに一つのラインがプレイする時間は短縮されるのが通常です。

第2ピリオドにはそれぞれのチームのゴールの位置が入れ替わりますが、ベンチの位置はそのままです。
その為に相手に攻め込まれて自陣でのディフェンスを長い時間強制された時など、ベンチまで戻ったりする距離が第1、第2ピリオドに比べると長くなります。
ですから第2ピリオドもあまり長く一つのラインがプレイしますと、疲れきってベンチに戻るまでに時間がかかってしまうといったケースもあるので、ラインチェンジのタイミングが難しくなります。

ゲームがアイシングやペナルティーなどで中断し、フェイスオフの時にラインを最後に投入する権利はホームチーム側にあります。
つまりホームチームのコーチは相手のどのラインが投入されたかを見てから、味方のどのラインを出すか決定できるというわけです。

その他にはパワープレイやペナルティーキルに使用されるユニットは通常のラインとは違うプレイヤーで構成される事が多く、パワープレイやペナルティーキルが終了してしばらくはラインが定着しない事もしばしばあります。

このようにコーチは常にどのラインを投入してゲームを有利に進めるか頭を悩ませます。
均衡したゲームではよく互いのチームのこうしたライン投入の駆け引きをコーチ間の「チェスマッチ」と呼びます。

近年、アイスホッケーのゴーリー(ゴールキーパー)は大型の人が多い傾向にあります。
例えば、NHLのナッシュビル・プレデターズに所属するペッカ・リネーは身長が195.6センチの長身で、膝をべったり氷の上につけた状態でも肩がクロスバーに届く大きさです。

それに加え、ゴーリーの使用するパッドやグローブ、ブロッカーはサイズが大きいので彼がポジションを取るとゴールマウスをほとんどカバーしてしまいます。
シューターにとってゴールに隙間が見えないというのは、それだけで精神的な不安を覚えるもので、ゴールの角やポストギリギリを狙ってシュートを打つものの、その多くはゴールを外してしまいます。

それでは彼のような大型ゴーリーを攻略する方法は無いのか・・・と言いますとそれが無くもないのです。NHLにはスナイパーと呼ばれる高精度のショットを持つシューターが多くいます。

彼等の凄いところはそのリリースの素早さです。
パックを放つスピードが目にも留まらぬ速さで、ほとんどバックスゥイングを必要としないまま、リストショットやスナップショットで高速のシュートを正確に放つ事ができるのです。

こういったリリースの速いプレイヤーはゴーリーの天敵で、シュートを放ってくるタイミングが掴めないので、迅速な反応ができなくなります。

ワシントン・キャピタルズの"アレックス・オベチキン"やピッツバーグ・ペンギンズの"シドニー・クロスビー"、ニュージャージー・デビルスの"イリア・コバルチャク"、あるいはシカゴ・ブラックホークスの"パトリック・ケイン"などはそのリリースの速さに定評があります。

さらにスクリーンと呼ばれるプレイヤーがゴーリーの目の前に立って視界を遮るプレイや、チップインと呼ばれるショットの軌道をスティックで変える事でゴールを奪おうとします。
こういったプレイに対してディフェンスマンはゴーリーの前から敵のプレイヤーを押し出したり、スティックで相手のスティックを押さえつけたりしてゴーリーの視界を確保したり、チップインを防ごうとします。

そのあたりのゴール前の攻防もアイスホッケーの見所の一つです。

最近のプロのアイスホッケープレイヤーは皆大柄です。
NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)では身長が190センチメートル以上で体重が100キログラムを超えるプレイヤーはざらにいます。

昨シーズン、スタンレー杯を獲得したボストン・ブルーインズのキャプテン、ズデーノ・チャラは身長が210センチメートル、体重が115.7キログラムもある巨漢です。
そのレスラーのような体躯をしたプレイヤー達がフルスピードでぶち当たるわけですから、いくらプロテクターがあると言っても相当な衝撃があります。

ではその巨漢のプレイヤー達がどれくらいのスピードのショットを放てるのでしょうか?
先に登場したズデーノ・チャラは2011年のNHLオールスターゲームのスーパースキル・コンペティションで105.9マイル(170.4キロ)のスラップショットを放ち、記録を打ちたてました。
公式の世界記録はロシアのアイスホッケーリーグであるKHLのデニス・クルヤシュが110.3マイル(177.58キロ)です。

アイスホッケーのホッケーのパックは実際に手にするとわかりますが、結構重いものです。
それが170キロのスピードで飛んできて顔に当たったりする事も珍しくないので、非常に危険です。

また、アイスホッケーのプレイヤーは頑強なだけではありません。
スピードに乗ったスケートをするための脚力は敏捷さを要求されます。
例えばディフェンスマンがブルーラインから放ったスラップショットをゴール前にいるフォワードのプレイヤーがわずかにスティックを掠らせてパックの方向を変え(野球でいうチップのような感じです)、ゴールを奪うというのは日常的にあります。

アイスホッケーを見慣れていない人は「パックを目で追えない」とよく洩らします。
それほどのスピードで動くパックをスティックで受け止めたり、意図的にチップさせたりするのはまさに神業としか言いようがありません。

アイスホッケーの伝説的プレイヤーであるウェイン・グレツキーはこう語りました。
「現在のプレイヤーは体格も大きくて、しかもスピードもある。それと共にホッケーがより激しいスポーツとなって危険を伴うのは避けがたい事だ。しかし身体面での激しさはこのスポーツの醍醐味でもあるので、これを除いてしまう事はできないだろう。」
まさにグレツキー氏の指摘する通り、この身体的な激しさこそアイスホッケーを観戦する上での大きな楽しみの要素なのです。